手術当日

当日とはいっても、麻酔のせいでほとんど何も覚えてないが・・・。
実は以前、蓄膿で2度ほど手術経験があるのだが、その時は局部麻酔で意識のあるまま、口の中から切開して顔の皮をめくりあげられて、のみと木槌でガンガン患部を削られるという恐ろしい手術を経験してるので、その点全身麻酔だと少し気が楽だった。
最初に麻酔の準備で、麻酔科の医師が「は~い、だんだん眠くなりますよ~。あと1015秒後には寝てますよ~」と言われ、なるべく寝ないように抵抗しようと思ったが、あえなく撃沈。でも麻酔をかけられた時か、麻酔から覚める時か、どっちかは分からないけれど、心の中に何人かの親しい人たちの気持ちが流れ込んでくる感覚があって胸が熱くなった。後で、携帯をチェックすると、丁度、手術当日の朝(開始は830)にメールをくれた人たちだった。。。気のせいかもしれないが、今でも思い出すと胸が熱くなる。
・・・で、気が付くと体は動かず目も開かないのに、先生たちが明るい声で話してるのが聞こえてきた。麻酔が覚めかかってたんだろう。

その時に執刀医の先生に対して、助手らしき先生が「○○先生~!今日の手術は完璧じゃないっすかー!」と話し掛けてるのが聞こえ、その場の雰囲気も「いい仕事をしたー」という空気に満ち溢れているのを感じた。

その時に執刀医の先生が「いや~!でも、「5-ALA」がなかったらどこまで、削っていいか分からなかったよ~。」と明るい声で言っているのが聞こえて、あぁ、やっぱり「5-ALA」という最新の医療技術のお陰で助かったんだ、と思った。やっぱり悪性度がそんなに高くなかったから、正常組織との境界が肉眼では分かりずらかったんだろうな、と思った。

兎に角、この手術直後の現場の空気を感じた時に「助かったんだなぁ~」としみじみ思った。
その後、家族が自分の周りを取り囲んでるのが分かって、とりあえず、親父には、手術後、左半身に麻痺がないかどうか、伝えるために左手足を動かすからな、と手術前に伝えてあったので、左手足を動かしてみた。目も開かないし、その他、カラダは動かせないのに、何故か左手足だけは動かせた。 親父が力強く手を握り返してきた。
お袋が不安な気持ちを俺にぶつけてきてるのがものすごく伝わってきた。
そして、兄貴が俺の横ですすり泣いてるのが分かって「相変わらず線が細ぇなぁ」と思ったが、思わず俺も胸が熱くなった。
まだ麻酔から完全に覚めてないはずなのに、周りの会話とかはよく聞こえて、意識も自分ではわりとはっきりしてたと思う。
でも後で話を聞いたら、兄貴に向かって「グレードは?グレードは?」って何度も聞いてたらしい。覚えてないけど。

やはり一番気になっていたことだったからだろう。 

 

BACK TOP NEXT

 

HOME